私は高校まで過ごした地元で消防職員として働いています。そろそろ、田舎消防の採用試験が始まる時期だと思うので、この記事で地元で消防職員になるメリット、デメリットを実体験を踏まえて伝えていきます。
地理に明るい
生まれ、育ち、遊んだ土地という事もあり、道路や目標物(店舗や公民館)となる建物を知っています。就職のためにやって来た他所の出身者が、覚えなければならない道路や目標物を最初から知っていることは大きなメリットとなります。
消防車や救急車の運転をするには道を覚えていなければなりません。さらに消防車を運転する場合は、消火用の水を確保するための消火栓や防火水槽の場所も把握しておかなければなりません。
この道路や消火栓などを把握するために、多くの時間を使います。この作業の時間が減ることによって、他の学習(消火、救急、救助、予防)に時間を使えるようになります。
特に採用後3年目くらいまでは、現場経験も少ないため自己研鑽の学習による差が大きいので、地理に明るいというメリット地元で消防士になる大きなメリットと言えます。
知り合いが圧倒的に多い
良くも悪くも自分が育った土地なので、友人、先輩、親戚など知り合いが多く暮らしています。
火災で家を失う人、救急車で搬送するケガ人や病人が知り合いの場合、最悪の場合は知り合いの「死」も当然あるわけです。これは地元で消防士になるデメリットと言えます。誰しも人の不幸に遭遇したいわけではありません。他人なら感情移入しにくいと思いますが、友人などの場合はどうしても感情が入ってきます。
しかしメリットもあります。知り合いがいたるところにいるので、助けてもらえる事も多くなります。
過去に火災で放水する水の量が足らなくなって、消防団の方と連携する事がありました。この時は消防団の分団長に「おっちゃん、水足らんのや。池から水送ってや。」と依頼しました。仕事中なのでもちろんこんな言い方はしていませんが。消防団の方に知り合いが多いというのは非常に心強い事です。
またトラブルになった時も、解決の糸口になる事もありました。窓口ので後輩職員が来庁者と揉めていました。そこに援助に行くと、来庁者が「お前、〇〇の息子か?おー久しぶり。ペラペラペラペラ・・・・。そしたら書類整えて、出直すわ。」と言って雑談でトラブル解決などもありました。
通勤時間が短い
地元なので、基本的に実家から通勤することができます。私は勤務している自治体の管轄内の最南部に実家があります。直近の出張所には車で5分、最も遠い出張所でも30分、本部庁舎でも10分と人事異動で勤務場所が変更になっても通勤時間は1時間はかかりません。人生で最も無駄な時間と言える通勤時間が短いということは、自分の寿命を無駄にしないという観点からも、相当なメリットと言えます。1時間2時間かけて離れた消防本部に勤務する人に比べて、学習にトレーニングに時間を使えます。これで前述した3年目までの自己研鑽による差をつける事ができます。
まとめ
地元で消防士になるデメリットは知り合いの不幸に遭遇する可能性が高くなること、気まずい知り合いに遭遇する可能性が高くなることぐらいでしょう。
対してメリットは総じて自分の時間を確保できることにあります。何度も言っていますが採用後3年目くらいまでは、現場経験も少ないため自己研鑽の学習による差が大きいので自分の時間を確保出来るというメリットの効果は計り知れません。どうしても地元以外の大規模消防や働きたい自治体がある場合は、一度地元に就職してから転職するという方法もあります。私の同僚も4年目で近畿最大の消防局に転職して行った人もいます。
もうすぐ田舎消防の採用試験時期になりますが、地元で消防士になるメリットが伝わればいいなと思います。
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